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平成22年度

 平成22年度は、我が国の医療提供体制が大きく変化することが予想されている。地域医療提供体制を崩壊の淵から立ち直らせ、国民が安心して安全にそして健康の不安なく生活できる医療提供体制の再構築が望まれている。医療の担い手である薬剤師、その薬剤師が働く医療提供施設としての薬局は、これまで以上に地域医療を含め、医療提供体制全般に積極的に参画していくことが期待されている。

 こうした環境のなか、5月からは新たな薬剤師養成カリキュラムの下で薬局・病院における薬学生の実務実習が開始される。これまで進めてきた準備体制に従って、適切な実習生の受け入れと指導を図ることが急務となる。一方、医薬分業はその伸び率は幾分鈍化したものの、調剤医療費が医療費全体の16%を超える大きさとなり、広く我が国の医療制度に定着してきた反面、患者・国民からは、提供する薬剤師サービスの質が厳しく問われることも少なくないことから、より一層の質的向上に取り組むことが急がれる。

 また、調剤とともに薬剤師が担う重要な役割であるセルフメディケーションへの貢献と、医薬品の適正使用を確保するという責務を全うする上でも、昨年、完全施行された改正薬事法の遵守とともに、一般用医薬品の地域への安定した提供体制の整備や、近年社会問題化している覚せい剤等の違法薬物の乱用防止活動、スポーツ選手の薬物使用に関わる啓発運動や不注意によるドーピング防止活動への積極的な参加も望まれている。

 組織の根幹に関わる公益法人制度改革に関しては、同様な課題に直面する都道府県薬剤師会に的確な情報を提供するとともに、従来の会員・組織を維持しつつ新たな法に沿って組織を再構築すべく、移行作業に傾注する必要がある。また、将来の活動拠点としての会館の建設に向けて、広く衆知を集め取り組まなければならない。

 さらに、これまでの歴史を振り返り薬剤師会の足跡を後世に残すために、120年史の編纂に取り組む一方で、会内はもとより広く社会に対して、薬剤師の職能を周知し、果たすべき役割やその担う責務について理解を得るため、積極的な広報活動の充実を図ることが求められている。

 我が国に薬剤師職業が誕生して120年、大きな変革期のなかで2年後に輩出される新しい教育を受けた後継者が、希望と期待を持って次の100年を歩むための指標となるビジョンの策定もまた急務の課題である。これらを重点課題として、以下の事業に取り組むこととする。

1.薬剤師養成のための薬学教育への対応

 (1)薬学生実務実習受入体制・指導体制の充実・強化

 (2)新薬剤師養成問題懇談会への対応

 (3)6年制カリキュラムへの対応(共用試験への対応を含む。)

 (4)薬剤師需給問題等への対応

 (5)薬学教育第三者評価への対応

 (6)大学及び関係団体との連携強化


2.生涯学習の推進

 (1)新たな生涯学習システムの検討・構築

 (2)e-ラーニングシステムの検討・構築

 (3)日本薬剤師研修センター等との連携・協力


3.薬剤師・薬局機能の充実・強化対策

 (1)医薬分業に係る質的向上対策
  1)薬局に対する国民理解を高めるために必要な調査・研究及び施策の検討と推進
  2)指導者の育成・支援

 (2)医薬品等の適正使用対策
  1)医薬品等の適正使用の推進
  2)後発医薬品の使用促進
  3)医療用麻薬の供給と適正管理のための環境整備(緩和ケアへの対応を含む)
  4)薬局製造販売医薬品の普及・啓発に向けた対応

 (3)基準薬局制度を活用したかかりつけ薬局の推進と定着

 (4)日薬サポート薬局制度を活用した調査・研究

 (5)「薬と健康の週間」への対応


4.新たな一般用医薬品販売制度への対応

 (1)リスクの程度に応じた情報提供と相談応需のための環境整備

 (2)一般用医薬品の適正使用の確保と普及・啓発

 (3)セルフメディケーションの推進


5.医療制度への対応

 (1)医療計画を通じた医療連携体制への積極的な参画

 (2)薬局等における安全管理体制の整備・充実

 (3)災害時の救援活動等への対応


6.医療保険制度への対応

 (1)調剤報酬体系の継続検討と当面する課題への対応(調査・研究を含む)

 (2)調剤報酬請求事務の適正化

 (3)指導者の研修と育成

 (4)薬価基準収載品目の検討

 (5)後発医薬品の使用促進(再掲)

 (6)医薬品産業政策及び流通問題への対応


7.居宅等における医療提供及び介護保険制度への対応

 (1)多職種協働による在宅医療の推進(調査・研究を含む)

 (2)医療用麻薬の供給と適正管理のための環境整備(再掲)

 (3)介護保険事業等への参加支援・協力

 (4)介護保険制度並びに次回介護報酬改定に向けた対応


8.病院・診療所薬剤師対策

 (1)チーム医療における薬剤師の業務分担と役割の明確化

 (2)病院診療所薬剤師技術料の在り方の検討と当面する課題への対応

 (3)6年制薬剤師の処遇改善に向けた取組み


9.医薬品等情報活動の推進

 (1)国民への医薬品等情報の提供サービスの実施

 (2)国・企業・学会等の情報の収集・評価・伝達

 (3)医薬品安全性情報収集活動の推進(DEM事業を含む)

 (4)情報支援システム等の検討・整備(薬剤師・薬局業務に係る情報技術の検討と推進)


10.地域保健・環境保全活動への貢献

 (1)健康増進関連事業等の検討と実施(健康日本21・健やか親子21関連事業への協力を含む)

 (2)薬物乱用防止活動の推進

 (3)ドーピング防止活動及びスポーツファーマシスト養成事業への協力

 (4)新型インフルエンザ対策への対応

 (5)公衆衛生・環境衛生問題への対応

 (6)食品の安全性確保への対応


11.職種部会の活動推進

 (1)薬局薬剤師部会(当該職種に係る将来ビジョン等諸課題の検討)

 (2)病院診療所薬剤師部会(当該職種に係る将来ビジョン等諸課題の検討と研修会の企画・開催)

 (3)製薬薬剤師部会(当該職種に係る将来ビジョン等諸課題の検討と研修会の企画・開催)

 (4)行政薬剤師部会(当該職種に係る諸課題の検討と講演会の企画・開催)

 (5)学校薬剤師部会(当該職種に係る将来ビジョン等諸課題の検討と研修会等の企画・開催)

 (6)農林水産薬事薬剤師部会(当該職種に係る将来ビジョン等諸課題の検討と研修会の企画・開催)

 (7)卸薬剤師部会(当該職種に係る将来ビジョン等諸課題の検討と研修会の企画・開催)


12.学術活動の推進

 (1)第43回日本薬剤師会学術大会(滋賀大会)の開催

 (2)日本薬学会等学術団体との連携


13.医薬品等試験の実施

 (1)都道府県薬剤師会試験検査センターの活動の推進及びその在り方の検討

 (2)溶出試験法による医薬品の品質評価とその活用

 (3)全国統一試験の実施等による精度管理

 (4)都道府県薬剤師会試験検査センター技術職員の研修


14.法規・制度

 (1)薬事法・薬剤師法関係への対応

 (2)医療法等への対応

 (3)その他関係法規への対応


15.国際交流の推進

 (1)FIPへの協力・支援及び参加促進

 (2)FAPAへの協力・支援及び参加促進

 (3)WHO等国際組織活動への協力と交流促進

 (4)各国薬剤師会等との交流


16.組織・広報活動の推進

 (1)薬剤師の将来ビジョンの策定に向けた検討

 (2)公益法人制度改革問題の検討と対応(都道府県薬剤師会における対応支援を含む)

 (3)薬剤師職能、本会事業の広報並びに周知

 (4)日本薬剤師会雑誌の発行

 (5)各種媒体による本会活動の周知

 (6)会員拡充対策の推進

 (7)高度情報通信システムの検討・運営

 (8)薬剤師賠償責任保険制度等の普及

 (9)薬剤師年金・共済部等福祉制度の運営(公益法人制度改革に係る見直しを含む)

 (10)日本薬剤師国民年金基金への協力・支援


17.日本薬剤師会館建設に向けた対応

 (1)会館建設に向けた具体的な調査・検討

 (2)会館建設用地の調査・検討・取得


18.その他本会の目的達成のために必要な事業

 (1)関係団体との連携・協力

 (2)税制改正、政府予算等への対応及び意見具申

 (3)諸外国における薬事・医療制度等の調査・情報収集

 (4)薬学生の活動に対する協力・支援(国内・国外を含む)