原文(FDAホームページより)


1998.6.16掲載

FDA医薬品審査・調査センター(CDER)

市販後情報-クエン酸シルデナフィル(バイアグラ):
バイアグラ使用に関するFDAに対する重篤症例概要報告

  情報公開制度により、FDAに提出されたバイアグラ等の薬剤による重篤な症例が報告されており、本日、FDAが公表することとなった。これらの報告は、以前公表したトーク・ペーパにおける当該医薬品の安全性について、FDAの見解を変更するものではない。これらの症例概要は、症例報告に興味を持つ一般大衆が簡単に既知情報を得られるように公表したものである。

 この報告は、自発的報告システムによるデータであり、情報量に限界がある。従っていくつかの事例においては、報告された臨床データは不完全であり、これらの薬剤によって、報告された症状が生じたのかどうかを判定できないものもある。更に、生じた症状が潜在疾患によるものである恐れや、別の因子によるものである恐れもある。

 つまり、寄せられたケース・レポートは当該医薬品の事故発生やリスクの評価に使えるものではない。医薬品販売期間、市場規模、販売力・販売方針、また、副作用及び規制に関する周知方法等の全ての要因が、事例報告に影響を与える。これらのデータから医薬品の安全性を比較することはできない。

 副作用データベース(AERS)における報告数は、副作用を経験した患者数を意味しない。これは、同一患者を1人以上の報告者が報告している場合や、以前報告した症例のフォローアップとして追報してくる場合があり、同一の患者が重複して報告されている可能性があるからである。

 1998年6月8日時点では、バイアグラによる重篤な症例が、FDAに対し、重複を除く16症例が報告されている。

症例#1
 63歳男性 グルコトロール(グリピジド)、アロプリノール及びアスピリンを服用し、2型糖尿病、高コレスレロール血症、高血圧および発作型心房細動の病歴を有する。バイアグラ服用後性行為を行い、服用の概ね1時間後に出血性拍出があり、病院で患者の様態は悪化し、死亡した。死因は示されていない。

症例#2
 62歳男性 ジゴキシン、インスリン及び降圧剤を服用し、糖尿病、うっ血性心不全、不整脈およびいくつかの肺繊維症の病歴を有する。バイアグラの初期量を服用し、概ね30分から1時間後に、性行為は行わずに、倒れ、その時には既に息がなかった。救急病棟に搬入された時には、呼吸がなく、脈もなかった。蘇生術が試みられたが、成功しなかった。死因としては心筋梗塞、うっ血性心不全及び高血圧と示されている。

症例#3
 64歳男性 イムダー(一硝酸イソソルビド)を服用し、心筋症、冠状動脈疾患、成人型糖尿病の病歴、及び狭心症様の病歴を有する。バイアグラを1回量服用し、性行為を行った後、気を失った。蘇生術は不成功であった。死因は心室性不整脈及び心筋虚血と示されている。

症例#4
 60歳男性 病歴及び服用薬剤は不明。バイアグラを処方された後に死亡した。服用の有無は不明。死因は示されていない。

症例#5
 バイアグラを服用している間に死亡した旨の報道があったと報告された症例。

症例#6
 73歳男性 ハイトリン(塩酸テラゾシン)を服用し、高血圧の病歴を有する。2度目にバイアグラを服用した後、性行為中に意識不明になる。病院で脳幹出血と心筋梗塞が判明し、意識が戻らないまま、死亡した。死因は示されていない。

症例#7
 73歳男性 併用薬は不明、心筋梗塞の病歴を有する。バイアグラ服用後、胸痛、低血圧及び第3度房室ブロックにより入院。蘇生術に反応示さず、入院数時間後に死亡。性行為についての情報はない。死因は示されていない。  

症例#8
 48歳男性 併用薬は不明、糖尿病の病歴を有する。バイアグラ服用後、性行為中胸痛を覚えた。救急車の車内でニトログリセリンを投与され、胸痛がおさまり30分間症状が安定した。再び胸痛が起こり、心臓停止、救急病棟にて死亡した。死因は示されていない。

症例#9
 バイアグラを服用した後、胸痛があり、ニトログリセリンを舌下服用した者が死亡した旨の報道があったと報告された症例。性行為についての情報はない。患者は後に死亡。死因については示されていない。  

症例#10
 バイアグラを服用している間に死亡した旨の報道があったと報告された症例。性行為についての情報はない。                   

症例#11
 74歳男性 グリライド、ハイトリン(塩酸テラゾシン)、グルコファージ(塩酸メトホルミン)及びコザール(ロサルタンカリウム)を服用し、2型糖尿病、高血圧及びメラノーマの病歴を有する。副作用報告によると、夜バイアグラを服用し、翌日の朝死亡。性行為についての情報はない。死因は心肺停止と示されている。

症例#12
 80歳男性 ハイトリン(塩酸テラゾシン)を服用し、持続型心房細動及び良性前立腺肥大の病歴を有する。性行為中に突如意識不明になった。死因については示されていない。

例#13
 57歳男性 併用薬及び病歴は不明。バイアグラの1回量を服用後、性行為を行うと即座に激しい胸痛を覚え、ニトログリセリンを投与される。救急病棟にて死亡。死因については示されていない。

症例#14
 70歳男性 カルジゼム(塩酸ジルチアゼム)、テノーミン(アテノロール)及びシンスロイド(レボチロキシンナトリウム)を服用し、冠動脈疾患、高血圧及び甲状腺機能低下症の病歴を有する。バイアグラ服用後死亡。死亡日時は不明。性行為についての情報はない。死因については示されていない。

症例#15
 67歳男性 カプトプリル、プラバコール、アテノロール及びアスピリンを服用し、心疾患、高血圧及び高コレステロール血症の病歴を有する。バイアグラ服用後性行為を行い、服用のおおむね1時間から1時間30分後に死亡。患者は顔色が蒼白になり、呼吸困難に陥った。病院到着時には既に死亡。死因については示されていない。

症例#16
 インシュリン治療中の53歳の男性がバイアグラを使用した直後に死亡したと報告のあった症例。性行為についての情報はない。死因については示されていない。

1998年6月9日

(訳:日本薬剤師会中央薬事情報センター)