日本薬剤師会雑誌より

学校における食物アレルギー・アナフィラキシーへの取り組み(日薬誌:10月号より)

国立病院機構相模原病院臨床研究センター
アレルギー性疾患研究部 海老澤 元宏

1)食物アレルギーへの対応

学童期の食物アレルギーは基本的には即時型の食物アレルギーが中心となり、病型としては即時型、口腔アレルギー症候群、食物依存性運動誘発アナフィラキシーの3つに分類される。原因としては牛乳、鶏卵、小麦などが多いが、ソバ、ピーナッツ、甲殻類、果物など多岐にわたる。学童期の食物アレルギーは客観的な症状や食物経口負荷試験によって診断されているべきであり、IgE抗体陽性というだけで除去の指導が行われるべきではない。診断根拠を記入する欄も設けているのはそのような理由からである。学校生活上、最も問題になることは学校給食である。食物アレルギーへの対応の充実の基本はまず学校関係者に正しい知識を持ってもらうことから始めるべきで、その上で各給食センターや調理場の実態に合わせて対応できる範囲を定めていくべきである。家庭科で食物を取り扱う調理実習や牛乳パックの回収など食物アレルギー児にとって健康被害が引き起こされるような場面も学校生活では認められる。さらに一生に一度しかない修学旅行などに食物アレルギーが原因で参加できないようなケースも存在する。このように多くの課題を抱えているが、食物アレルギーの診療レベルの改善、保護者と学校関係者への正しい知識の普及により事態の改善が図られることを期待している。

2)アナフィラキシーへの対応

アナフィラキシーはアレルギー反応の最重症な症状として時には命に関わることもある緊急の対応を必要とする。アナフィラキシーの原因として最も多いのは、食物アレルギーであるが、そのほかにもハチ刺傷、運動、食物+運動(食物依存性運動誘発アナフィラキシー)などが原因としてあげられる。有病率は0.14%である。アナフィラキシーの症状として最も危険なのは呼吸器系の症状として呼吸困難(喉頭浮腫、喘鳴など)を呈する場合である。学校関係者としてまず行うべきは症状の把握であり、重症度の適切な評価である。症状が出現した際には抗ヒスタミン薬やステロイド内服も必要だが、多臓器の症状を伴うアナフィラキシーではショックに至り生命に関わることもあるので緊急の対応が必要になる。2005年からわが国でも食物アナフィラキシーに対して自己注射用アドレナリン製剤(エピペン○R)が小児に対して承認された。ペン型のバネ仕掛けの注射器で0.3mgと0.15mgの製剤があり、素人でも簡単に太腿の外側にズボンの上からでも注射できる。使用するタイミングとしては喉頭浮腫や下気道の閉塞による呼吸困難等が出現した時が適応である。学校においては緊急時の対応(搬送先の確保、保護者との連絡など)は保護者との間で取り決めておくべきである。呼吸器症状が出現した際などのアナフィラキシー症状に対して患者自身と保護者が使用することは認められているが、学校生活においては薬剤の保管や緊急避難として学校関係者が使用することも取り組みガイドラインにおいて推奨されている。2009年からは救急救命士が業務としてエピペンを使用することも可能となっており、食物によるアナフィラキシー等の社会的な対応が進んできている。2011年の9月からエピペン○Rは保険適応となり、より多くの患者さん達が携帯しやすい状況となってきた。

平成25年度 くすり教育研修会(日薬誌:9月号より)

平成25年8月2日

本会主催ではじめて、学校関係者と学校薬剤師を対象として開催された第1回くすり教育研修会は、参加者178名にご参加をいただき無事終了した。

参加は学校薬剤師97名、保健体育教諭2名、保健主事1名、保健主任1名養護教諭63名、その他(大学等)14名であった。

くすり教育は保健体育の時間で取得するべき内容なので、今後はさらに保健体育の教諭の参加が増えることが期待される。

特別講演、3名の事例報告の後、座長をしていただいた兵庫教育大学大学院学校教育研究科の鬼頭英明教授より、高校生が学ぶ「医薬品の教育」と題して報告がなされたのち会場から質問を受けてシンポジウムを開催した。

学校薬剤師や教育関係者から多くの課題が提示され、今後につながる意義ある研修会であったと思う。

学薬部会幹事 日高 華代子

平成25年度 学校環境衛生研究協議会報告(日薬誌:9月号より)

平成25年7月21日(日)

本年より本会後援とした第3回学校環境衛生研究協議会が愛知県名古屋市において全国から306名の参加を得て開催され、無事終了した。参加者の内訳は県内学校薬剤師206名、県外学校薬剤師70名、学校関係者23名、学校医2名、他5名であった。

本大会は、特に、学校保健安全法で定められた学校薬剤師の職務執行の準則に基づく学校環境衛生活動及び学校給食の衛生管理等について研究協議を行うとして、学校薬剤師が参加しやすい休日開催でかつ学校環境衛生の話題を中心に開催されている。

学校において児童生徒等及び職員の心身の健康の保持増進を図るために行われる学校環境衛生活動をより円滑に推進することは必要かつ重要なことであり、全国の学校薬剤師に新たな学校環境衛生基準の周知・徹底を図るとともに、学校環境衛生の維持管理に努めるなかで、学校薬剤師が行う様々な指導助言には当然、学校薬剤師の資質向上が欠かせないことからも意義があり、今後の開催にも期待したい。

日本薬剤師会 学校薬剤師部会 第1回 WGリーダー会議報告(日薬誌:9月号より)

日 時 : 平成25年7月29日(月)13:30~16:00

場 所 : 日本薬剤師会第ニ会議室

議 題 : 

 1.平成25年度 各WGの進め方等について(報告・協議)

  ①全国学校保健調査WG 【大瀧リーダー】

 ・ 全国学校保健調査票の作成
 平成26年度の内容を11月から検討開始

 ・ 集計結果報告の作成及び配布
 平成24年度の報告書及びCDは3月中配布

 ・ 会員への周知徹底
 日薬雑誌掲載、日薬学術大会発表・ラジオnikkei出演

 ・ 「基準」に基づく統一定期検査票の作成
 第1回合同WG4月25日開催。

  ②組織・会員強化WG 【田中リーダー】

 ・ 「学校薬剤師活動を紹介するツール」について、「学校薬剤師活動紹介ショートフィルム」作成、
日薬HPや会報、FaceBook等で拡散予定 

  ③学校薬剤師活動WG 【石川リーダー】

 ・ 中学校向けくすり教育資材の検討
高校版「医薬品教育DVD]のアンケートの回収率が悪いため、再度依頼する。

 ・ 学校薬剤師の職務に関するマニュアル等の検討

 ・ 中学校でのくすり教育の事例等について

 ・ 学校薬剤師の活動方針の提示

  ④研修会・リーダー育成WG 【日高リーダー】

 ・ 平成25年度くすり教育研修会(8/2)

 ・ 平成25年度学校薬剤師研修会
 千葉会場 10/6(日) 山口会場 10/20(日)

 ・ 中学校でのくすり教育の事例等について

 ・ 学校環境衛生検査技術講習会(検討中)

  ⑤学校薬剤師の係るQ&AWG 【村松部会長】

 ・ 木全リーダー、永瀬先生で対応

  ⑥広報・情報WG 【畑中リーダー】

 ・ 日薬雑誌「学薬ページ」掲載

 ・ ラジオNIKKEI出演依頼

 ・ 日薬HP 学薬部会ページ充実

  ⑦学校給食WG 【守谷リーダー】

 ・ 学校薬剤師の活動内容を明確にする。

学校における化学物質の使用と管理 ―塩素系消毒剤と殺虫剤を例として―(日薬誌:8月号より)

岐阜薬科大学・教授 永瀬 久光

【はじめに】

6月13日(木)午前10時~午後3時まで、山口県総合保健会館に於いて開催されました。

学校では保健室の医薬品や理科室の薬品は別にして、水泳プール用薬品、給食室の洗浄剤、漂白剤等、殺虫剤、除草剤等の農薬、防臭剤等、利用目的に合わせて積極的に使用されている。学校において、これらの化学物質は児童生徒への接触・曝露、学校周辺の環境への放出等により影響を及ぼすことがある。

化学物質の使用・管理に問題があった事例として、消毒剤と殺虫剤の例を挙げ、その注意すべき点について述べる。 Read more »

第37回山口県学校環境衛生研究大会報告(日薬誌:7月号より)

6月13日(木)午前10時~午後3時まで、山口県総合保健会館に於いて開催されました。

開会行事では、山口県学校薬剤師会 西村正広会長、日本薬剤師会学校薬剤師会部会 村松章伊部会長の挨拶の後、表彰式があり、終了後、2つの研究協議会に分かれて、協議されました。 Read more »

お詫びと訂正(「日本薬剤師会雑誌」7月号)

日本薬剤師会雑誌2013年7月号「学薬のページ」において誤植がありました。

深くお詫び申し上げますとともに、訂正します。 Read more »

WG活動のご紹介(日薬誌:2月号より)

学校薬剤師部会では,6つのワーキンググループ(WG)に分かれて,活動を開始致しました。それぞれの業務内容について,ご紹介致します。

【全国学校保健調査WG】

①全国学校保健調査票の作成
次年度の内容を検討し調査票を作成する。

②集計結果報告書の作成及び配布
回収した調査票により定期検査等の実施率を学校種別・都道府県別に集計し,結果の報告書とCDを作成して配布する。

③会員への周知徹底
・ 日本薬剤師会雑誌に概要版を掲載する。
・ 日本薬剤師会学術大会において発表する。
・ ラジオNIKKEI「薬学の時間の学薬アワー」における放送により情報提供する。


【組織・会員強化WG】

法改正により学校薬剤師の活動の幅が広がりました。加えて薬学6年制で地域保健を学んだ薬剤師が登場し,会員の組織強化の必要性が増加しています。団塊世代の学校薬剤師が,若い薬剤師を育成する仕組みつくりが急務であり,安定・継続した活動のために「学校の数以上の学校薬剤師」が必要であるとも言えます。今後,学校薬剤師を希望する旨を表現できる「学校薬剤師推薦願」を作成し,各WGとの連携で学校薬剤師活動を紹介するツールを作成・更新していきます。


【学校薬剤師活動WG】

①くすり教育への支援・協力
新学習指導要領に沿った学校薬剤師へのパンフレット等を,くすりの適正使用協議会等の関係団体と協力し作成する。

②学校薬剤師に課せられた職務全般のマニュアル・資料等の作成(学校薬剤師が一定のレベルに到達するための啓発資料等の作成)

③学校薬剤師の活動方針の提示
学校薬剤師組織の一体化を踏まえた,新たな学校薬剤師並びに学校薬剤師の活動方針

④各WGのまとめ(事業並びに予算配分 等)


【研修会・リーダー育成WG】

①全国を東西の2ブロックに分け研修会を開催。
学薬の資質向上を目的とする。 ※24年度は高知と長野で開催

②くすり教育を充実させることを目的とした最新の情報取得のための研修会を開催する。
※平成25年度から全国1か所で開催予定。

③環境衛生検査の公定法や法的根拠を学ぶ研修会を札幌・東京・名古屋・大阪・福岡のいずれかで年1回開催。都道府県のリーダーとなる学薬を育成する。


【学校薬剤師に係るQ&A WG】

①学校保健安全法で学校薬剤師の職務執行の準則に記載されている職務全般に関する質問への対応

②学校環境衛生検査に伴う検査方法・測定法及び使用する測定器等に関する質問への対応

③学校給食の衛生管理に関する質問への対応

④保健教育・保健管理・安全管理全般に関する質問への対応

⑤その他,ホームページ等を活用し会員が利用できるQ&A集の作成等


【広報・情報WG】

①日本薬剤師会雑誌への毎月の掲載 ※「学薬のページ」として掲載します。

②日本薬剤師会ホームページの学校薬剤師部会ページを充実
※日本学校薬剤師会ホームページのコンテツンツを日本薬剤師会ホームページに移行し,
    より充実した内容にしていきます。

③ラジオNIKKEI出演者依頼
※ラジオNIKKEI「薬学の時間」の中の「学薬アワー」を継続して、演者を選出、
    依頼していきます。


~研修会のお知らせ~

平成24年度学校薬剤師研修会は、下記の日程で行われます。

平成25年3月  3日(日)  高知県高知市 土佐御苑・本会2階
              3月17日(日)  長野県松本市 サンパルテ山王5階

※申込み方法等詳細につきましては、日本薬剤師会雑誌1月号をご覧下さい。

学校薬剤師の部屋 巻頭言(日薬誌:1月号より)

学校薬剤師部会 部会長 村松 章伊

新年あけましておめでとうございます。

平成24年3月末日をもって日本学校薬剤師会は解散し,新たに4月より発足した公益社団法人日本薬剤師会学校薬剤師部会と一体化して再スタートをいたしました。一体化後思うように活動を再開させることができませんでしたが,昨年末より徐々に活動を始めることができるようになりました。 Read more »