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第50回日本薬剤師会学術大会
「ポスター優秀賞」選考結果


平成29年10月10日
公益社団法人日本薬剤師会

 本会では、薬剤師の調査・研究活動への意識向上並びに調査・研究内容のさらなる質の向上に資することを目的に、第48回日本薬剤師会学術大会(鹿児島大会)より、ポスター優秀賞を創設しています。
 第50回大会(平成 29 年 10 月 8 日・9 日、於:東京都千代田区)においても、12名の審査委員により、①学術性、②新規性、③将来性、④医療等への貢献、⑤示説・討論時の態度・応対等を含む総合的な観点から審査を行い、下記の5題を優秀賞として選考しましたので、ここに発表いたします。
 なお、今回は、最優秀賞(特に秀でた発表)は該当なしといたしました。会員各位の、さらなる研鑽を期待いたします。

【優秀賞】(5題)

(演題番号順)

演題番号:P-2-099
演 題 名:高齢者への処方実態と多剤併用・有害事象への取り組み例
発 表 者
:○船見 正範
所   属:エムシー関東株式会社  ペパーミント薬局(栃木県)
抄 録

【目的】高齢者への薬物治療では、処方カスケードやポリファーマシーが起こりやすい。加えて、薬物代謝能の低下や薬物感受性の変化からもたらされる薬物有害事象(adverse drug reaction:ADR)が問題となっている。一昨年、日本老年医学会から「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン 2015」が発刊され、高齢者の処方適正化スクリーニングツールとして「特に慎重な投与を要する薬物のリスト」(以下、慎重投与リスト)「開始を考慮するべき薬物のリスト」を用いた薬剤師による高齢者薬物治療への介入が期待されている。そこで、当薬局で応需している処方箋のうち、慎重投与リストに該当する薬剤の処方実態について調査を行い、また、慎重投与リストを利用して介入に繋がった事例から、今後の高齢者の薬物治療への取り組み方について検討を行った。
【方法】(a)処方実態の調査:2016 年 4 月~2017 年 3 月の 12 ヶ月間に受け付けた 75 歳以上の高齢者を対象とし、処方薬剤数(内服のみ)及び慎重投与リストに該当する薬剤処方数・品目を調査した。(b)治療介入に繋がった事例:ポリファーマシーまたは慎重投与リスト薬剤の処方例のうち、ADR が疑われる、または予見される例について医師への疑義照会または情報提供が行えた例、及び ADR が疑われる患者への相談勧奨・受診勧奨などの介入例について、薬歴を基に抽出した。
【結果】(a)調査対象は 75 歳以上(2016 年 4 月時点)で内服薬の処方のあった全来局者197 名(平均年齢 82.3 歳、男性 95 名、女性 102 名)の処方。処方箋受付枚数は 2,134 枚、処方薬剤数は 1~15 剤(平均 4.52 剤)、6 剤以上の処方(ポリファーマシー)のあった患者及び処方箋は 51 名(25.8%)、695 枚(32.5%)でった。また、慎重投与リストに該当する薬剤を処方されていた患者及び処方箋は 74 名(37.6%)、930 枚(43.6%)であった。(b)ポリファーマシーまたは慎重投与リストにある患者の中で、疑義照会または情報提供を行えた患者数は 11 名(5.6%)であった。そのうちの具体例を紹介する。
【考察】慎重投与リスト薬剤の処方が直ちに ADR や不適切処方に繋がる訳ではないが、回避可能な ADR の発生を防ぎ、また、増え続ける医療費抑制への貢献のために、慎重投与リストの利用は有効である。薬剤師が、処方薬のリスクと効果を充分意識して治療への介入を行うことが重要である。
【キーワード】高齢者、ポリファーマシー、薬物有害事象、疑義照会、不適切処方

演題番号:P-2-115
演 題 名:後発医薬品の溶出試験において類似性が認められにくい薬剤の特徴に関する調査研究
発 表 者:○杉浦 莉奈1),田辺 公一1),後藤 伸之2),大津 史子1)
所    属:1:名城大学薬学部  医薬品情報学研究室(愛知県),2:福井大学医学部附属病院 薬剤部
抄   録
【目的】後発医薬品(GE)では、生物学的同等性確保のため「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドライン(ガイドライン)」に生物学的同等性試験と溶出試験が規定されている。溶出試験では、各種条件において溶出挙動の類似性の判定基準があるが溶出試験による類似性の判定は生物学的に同等であることを意味せず、先発医薬品との溶出挙動の類似性が認められなくとも、ヒトでの生物学的同等性試験において同等であることが確認できれば承認される。そこで、GE において溶出挙動が類似しない薬剤の特徴を明らかにし、GE の選択に役立つ情報構築を目的に検討を行った。
【方法】PMDA の医療用医薬品情報検索(検索式「基準に適合しな OR 基準に適合せ」)を用い溶出挙動が類似しない薬剤の有効成分を抽出した。次に「薬価基準収載品目リスト及び後発医薬品に関する情報について」(平成 28 年 4 月 1 日適用)において、有効成分と同じ銘柄品を調査薬剤とした。調査対象は、医薬品インタビューフォームとし、調査項目は「製剤に関する項目」に記載されている添加物および溶出性とした。
【結果】溶出試験が適応され、先発医薬品との比較ができる錠剤およびカプセル剤は 34 成分あった。難溶性薬物を含む薬剤では、ガイドラインに個別の設定があり、その試験においても溶出挙動が類似しない薬剤もあった。また溶出性が類似しない GE と同社の規格が異なる GE を比較している製剤もあり、それでは先発医薬品との同等性を評価できなかった。溶出挙動が類似しない薬剤にのみ含まれる添加物として、アジスロマイシンでメタケイ酸アルミン酸マグネシウム等があった。また設定された pH において溶出性が1 条件以上類似しない製剤と全条件で類似する製剤間で、先発医薬品との添加物の一致率を比較したところ、後者において有意に高かった(Mann-Whitney 検定)。
【考察】溶出挙動が類似しない薬剤の特徴として、その薬剤にのみ含まれる添加物があり、それらが溶出性に影響するか精査する必要ある。先発医薬品との添加物の一致率も溶出性に影響する可能性が考えられる。また、ベニジピンのように結晶転移し溶解度が低下すると報告されている成分も存在し物理化学的性質も考慮する必要がある。今回の結果より、GE の選択において、溶出挙動に加え、物理化学的性質、生物学的同等性などを総合的に評価する必要性を具体的に明らかにできた。
【キーワード】後発医薬品、溶出挙動、添加物

演題番号:P-2-143
演 題 名:Mechanism-based inhibition モデル並びに拮抗阻害モデルによる CYP2D6 の薬物間相互作用の予測-paroxetine 及び metoprolol の併用-
発 表 者:○平岡 秀夫
所   属:株式会社類家大学堂薬局  大学堂薬局  柏崎(青森県)
抄 録

【目的】我が国の高齢化率(65 歳以上人口割合)は急速に上昇しており、2015 年には26.7% に達し、2060 年時点では 39.9%と推測されている。このような高齢化の急速な進展により、高齢者への薬物療法に伴う問題が顕在化している。すなわち、合併症による多剤投与(polypharmacy)の増加、多剤投与による副作用の増強及び薬物間相互作用の発現である。これら問題を回避することは、薬剤師の重要な責務である。高齢者を含め幅広い年代で処方されている paroxetine は、薬物代謝酵素 CYP2D6 に対する強力な阻害作用を示す。paroxetine の添付文書には、CYP2D6 に対する阻害様式は拮抗阻害であること、さらに、代謝における CYP2D6 の寄与率が高い metoprolol との併用で、metoprolol の血中濃度-時間曲線下面積(AUC)が顕著に増加することが記載されている。一方で、paroxetine は CYP2D6 と複合体を形成して不可逆的に阻害する、いわゆる mechanism-based inhibition に関する論文が報告されている。そこで、mechanism-based inhibition モデル並びに拮抗阻害モデルを用いて、paroxetine と metoprolol との薬物間相互作用をそれぞれ予測し、臨床薬物相互作用試験の結果との比較評価を行った。
【方法】Paroxetine の動態パラメータを論文及び申請資料概要から収集し、各投与量(10 ~70mg)の paroxetine を 1 日 1 回 1 週間反復投与したときの肝臓入口での最大濃度を見積った。これら paroxetine 濃度に論文から収集した metoprolol 及び CYP2D6 の動態パラメータ を加え、 mechanism-based inhibition モデル並びに拮抗阻害 モデルから metoprolol の(R)-体及び(S)-体の各 AUC 上昇割合を算出した。
【結果】Paroxetine 併用時の metoprolol の(R)-体及び(S)-体の各 AUC 上昇割合は、mechanism-based inhibition モデルでそれぞれ 7.7~8.8 倍及び 4.6~4.9 倍であった。一方、拮抗阻害モデルではそれぞれ 1.1~1.9 倍及び 1.0 倍であった。
【考察】Paroxetine と metoprolol との臨床薬物相互作用試験の結果、metoprolol の(R)- 体及び(S)-体の AUC はそれぞれ 7.9 及び 5.1 倍増加している。したがって、CYP2D6 を介した paroxetine 及び metoprolol の薬物間相互作用は、主に mechanism-based inhibition に起因すると推察された。このように、薬物間相互作用の大小を把握することは、臨床判断において非常に有益な情報になり得るものと考えられた。
【キーワード】CYP2D6、mechanism-based inhibition、薬物間相互作用、paroxetine

演題番号:P-2-183
演 題 名:乳幼児に与える散剤のペースト化に必要な水分量の最適化と後発医薬品への適用に関する研究
発 表 者:○福田 春香1),吉村 彩也香2),小林 千翔2),橋崎 要2),鈴木 直人2),金沢 貴憲2), 重谷 美子1),深水 啓朗3) ,山本 佳久4),鈴木 豊史2)
所   属:1:株式会社アイリスファーマ(東京都),2:日本大学薬学部,3:明治薬科大学, 4:帝京平成大学薬学部
抄   録
【目的】現在、小児科領域では「散剤に少量の水を加えて練り、ペースト状にして服用 するように」と指導している。これまでに、散剤のペースト化に関する基準は、主観的 な観察に基づいて評価されてきた。今後は、後発医薬品が処方される割合の増加に伴い、ペースト化するために必要な水量について客観的な基準の確立が必要となる。そこで、 本研究では先発医薬品から後発医薬品に変更するための推奨基準について検討すること を目的とし、小児領域で処方される割合が高い、医薬品であるチペピジンヒベンズ酸塩、アンブロキソール塩酸塩およびカルボシステインとそれらの後発医薬品 8 種類について、加水状態における散剤の降伏値からペースト化に必要な水量を算出した。
【方法】軟質ポリエチレン製スポイト(#7905、シンリョウ)から滴下される水 1 滴の質量を電子天秤で測定した。測定は男女 100 名で各 10 回行い、その平均値と標準偏差を算出した。秤量した 0.25~1.0 g の薬剤にマイクロピペットを用いて 25 あるいは 50 μL ずつ水を滴下し 1 分間混合した後、スプレッドメーターを用いて加水後のペースト状散剤の展延性を測定した。測定開始 200 秒後の展延性をデジタルカメラで撮影し、画像解析ソフト「Image J」を用いて降伏値を算出した。
【結果及び考察】スポイトから滴下される水 1 滴は、男女とも約 50 μL であることが明らかとなった。散剤の種類によってペースト化に必要な水量が異なり、ある一定以上の水量を添加することで、降伏値が低下し液状を呈した。このような液状では、薬剤が患児の口から“よだれのように”垂れてしまい、唇周囲の炎症を引き起こす可能性が考えられる。そのため、散剤の最適なペースト状態を得るためには、25 μL ずつ滴下できるスポイトの必要性が示唆された。ペースト状散剤の展延性を測定した結果、各薬剤の最適なペースト化には約 1,000 dyne/cm2 の降伏値を有する必要があると示唆された。さらに、後発医薬品は添加物の相違により、散剤のペースト化に必要な水量が先発医薬品と大きく異なることが明らかとなった。後発医薬品の中には、ペースト化に必要な水が少量である製品も存在したことから、投薬時に最適な水の滴下数を情報提供することで、看護者の服用時の負担軽減につながることが期待される。
【キーワード】散剤、ペースト法、後発医薬品、乳幼児、服薬指導

演題番号:P-2-199
演 題 名:薬局薬剤師による疑義照会の医療経済学的効果に関する研究~外来処方せんを対象として~
発 表 者:○須賀 瞳1),藤枝 正輝1),鈴木 伸悟 2),藤田 勝久2),中道 節3),長谷川 博美3), 田中 博之1),有山 智博1) ,木下 雅子1),渡辺 朋子1), 石井 敏浩1),
所   属:1:東邦大学薬学部実践医療薬学研究室(千葉県),2:有限会社ウインファーマ, 3:株式会社アシスト
抄   録
【目的】薬剤師による疑義照会は、不適切な処方内容を適正化するだけでなく、医療経済学的にも種々の費用に対して節減効果があることが報告されている。これまでに、疑義照会に伴い節減される費用として、「薬剤費」、「副作用の発現回避による医療費」、「疾患の治療効果不足の回避による医療費」に関する報告があるものの、これらの費用についてまとめて調査した例はない。そこで本研究では、疑義照会に伴うこれら 3 種の医療費節減額を一括して調査することで、薬局薬剤師による疑義照会の医療経済学的効果について取りまとめることを目的とした。
【方法】ウインファーマ 34 薬局およびアシスト 12 薬局の計 46 薬局において、平成 28 年 7 月 19 日~25 日の 7 日間に応需した外来処方せん(応需処方せんより、在宅患者訪問薬剤管理指導料、居宅療養管理指導費もしくは介護予防居宅療養管理指導費を算定した 処方せんを除いた処方せん)における疑義照会を内容毎に分類し、薬価を用い「薬剤費」節減額を算出した。疑義照会を行わなかった場合に患者に有害事象が生じる可能性があ る事例については、診療群分類包括評価を用いて「副作用の発現回避による医療費」お よび「疾患の治療効果不足の回避による医療費」を算出した。本研究および先行研究に て得られた結果をもとに、全国の年間処方せん枚数を 82,372 万枚、副作用の重篤化率を6.7%、入院率を 1.0%と仮定し、全国の薬局における年間医療費節減額を推定した。
【結果及び考察】対象処方せん 15,088 枚中 675 件の疑義照会があり、件数ベースの疑義照会率は 4.5%であった。対象期間における医療費節減額は、「薬剤費」約 31 万円、「副作用の発現回避による医療費」約 719 万円(47 件)、「疾患の治療効果不足の回避による医療費」約 4,512 万円(217 件)であった。これらより副作用の重篤化率や入院率等を加味し推定した全国の薬局における年間医療費節減額は、「薬剤費」約 166 億円、「副作用の発現回避による医療費」約 261 億円、「疾患の治療効果不足の回避による医療費」約 253 億円、計約 680 億円と見込まれ、それぞれの節減額は全体の 24.4%、38.4%、37.2%を占めていた。本研究の結果から、薬局薬剤師による疑義照会は処方内容を適正化するだけでなく、医療経済学的にも非常に有益な業務であり、薬剤費以外の医療費の節減にも大きく貢献している可能性が示唆された。
【キーワード】薬局薬剤師、疑義照会、医療経済、医療費、節減






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